愛媛大学理学部 沿岸環境科学研究センター

research

野生生物における有機ハロゲン化合物の代謝活性化過程

PCBsやPBDEsなどの有機ハロゲン化合物は、多様な野生生物から検出され、今なお高次生態系の汚染が顕在化しています。近年、これら有機ハロゲン化合物は親化合物だけでなく生体内代謝物(OH-PCBs, OH-PBDEs)の毒性も問題視され、とくに甲状腺ホルモンや脳神経系への影響が危惧されていることから、生物の行動異常に関わる物質として高い学術的関心を集めています。しかしながら、野生生物に残留する代謝物の曝露実態や蓄積の態様はほとんど明らかにされていません。

本研究テーマでは、生物環境試料バンク(es-BANK)に冷凍保存されている陸棲哺乳類(狸、猫、犬)、海棲哺乳類(鯨類・鰭脚類)およびヒトを対象にして、血液、肝臓、脳組織に蓄積するPOPsとその水酸化代謝物を詳細に分析し、体内挙動の解明に加えて、動物種間での蓄積濃度や薬物代謝能の差異を比較生物学的に解析することで、汚染物質に対しより高いリスクを持つ動物種を明らかにすることを目的とした研究を進めています。

本研究により、これまで不明であった有機ハロゲン代謝物による国内野生生物の汚染と曝露実態、内分泌かく乱の態様とリスクが明らかになり、その成果は野生生物の保全のみならず、環境汚染と生態リスクの低減に繋がることが期待されます。

野生生物における有機ハロゲン化合物の代謝活性化過程

野生生物における有機ハロゲン化合物の代謝活性化過程2