愛媛大学理学部 沿岸環境科学研究センター

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田上瑠美さん(助教)が第29回環境化学討論会 優秀発表賞(SETAC 賞(SETAC JAPAN Award))を受賞しました

 

令和3年6月1日(火)~3日(木)に会場参加型とWeb参加型のハイブリッド方式で開催された「第29回環境化学討論会」(主催:一般社団法人日本環境化学会、会場:千里ライフサイエンスセンター)において、沿岸環境科学研究センター(CMES)化学汚染・毒性解析部門の田上瑠美さん(助教)が、優秀発表賞(35歳以下の社会人、若手研究者、および博士後期課程学生の部)を受賞しました。本年度は、18題のエントリーがあり、うち4名が選ばれました。

演題は「下水処理水に残留する医薬品類及びパーソナルケア製品由来物質の魚類への取込と排泄」です。本研究では、試験魚3種への下水処理水in vivo曝露試験を実施し、医薬品類やパーソナルケア製品に含まれる生理活性化学物質(PPCPs)の取込速度定数、排泄速度定数、消失半減期、体内分布を解析しました。また、in vitro試験により血しょうたんぱく結合率と肝S9代謝速度定数を算出しました。その結果、PPCPsの魚類への移行・残留性には、化学物質の脂溶性に加え、取込•分布•代謝•排泄(ADME)、特にたんぱく結合、肝代謝、糞中への排泄が重要な役割を担うことが明らかとなりました。本研究において得られた魚類におけるPPCPsのADMEに関する知見は、ADMEの機能差を考慮した生物濃縮性予測モデルの確立に役立ち、生物種間の外挿・類推に付随する不確実性の低下および生態毒性・生物濃縮性試験の削減が期待できます。