愛媛大学理学部 沿岸環境科学研究センター

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徳田深咲さん(M1)が第30回日本野生動物医学会大会において「優秀ポスター発表賞」を受賞しました

令和6年12月13日(金)~12月15日(日)に沖縄技術大学院大学(沖縄県)で開催された「第30回日本野生動物医学会大会」において、沿岸環境科学研究センター(CMES)化学汚染・毒性解析部門の徳田 深咲さん(大学院理工学研究科博士前期課程1年生)が、「優秀ポスター発表賞」を受賞しました。

徳田さんの発表演題は、「ツシマヤマネコにおける残留性有機ハロゲン化合物の汚染実態」で、沿岸環境科学研究センターの野見山桂准教授、田上瑠美准教授の指導の下で取り組んだ研究成果の発表です。

徳田さんは、岡山理科大学獣医学部獣医学科および対馬野生生物保護センターとの共同研究により、長崎県対馬にのみ生息する絶滅危惧1A類の希少生物であるツシマヤマネコの肝臓・腎臓に対する残留性有機汚染物質(POPs, PFAS等)の蓄積について分析し、日本の高次栄養段階に位置する陸棲哺乳類の中でも、特に高いレベルで化学物質に曝露している可能性があることを明らかにしました。PFASは肝臓で特に濃度が高く、塩素系・臭素系の有機汚染物質は肝臓・腎臓で同程度の高濃度蓄積でした。特に、塩素系・臭素系化学物質については、本研究室で以前調査されたイエネコとは大きく異なる組織分布となり、ネコ科の中でも特に近縁であるベンガルヤマネコ属とネコ属で、化学物質の体内への蓄積が異なることが示唆されました。対馬のサンプリング地点別での解析では、大きな差異は見られず、島全体のヤマネコが同程度の化学物質曝露を受けている可能性が示唆されました。肝臓において特に高濃度で蓄積していた化学物質について健康影響のリスクを評価した結果、PFASは脂質代謝に、PCBsやp,p’-DDEsは特に高濃度蓄積していたオスの検体で薬物代謝酵素(CYP)の発現誘導に影響を与えている可能性があることが判明しました。この研究では、希少生物であるツシマヤマネコに対する化学物質汚染の蓄積および、健康への悪影響の可能性があることについて明らかにした点が評価され、受賞に至りました。

 

第8回ケミカルハザードシンポジウムを開催しました。

「第8回ケミカルハザードシンポジウム」を10月24日から25日の2日間にわたり北海道大学にて開催しました。今年度のテーマは、「環境研究のための異分野融合 ~ 環境化学におけるOne Healthアプローチを考える」と設定しました。One Healthの概念は、「人の健康」を達成するためには「動物の健康」や「環境や社会の健全性」が不可欠であるという考え方に基づいています。この概念は近年、世界的に急速に普及しつつあり、グローバルなネットワークが構築されています。一方、日本国内では一部の地方自治体で推進条例が定められるなど普及の兆しが見られるものの、世界に比べると遅れがあり、特に学際的なネットワークの不足が指摘されています。
本研究室からは3名の学生(佐藤さん、徳田さん、桒原さん)が英語で口頭発表を行いました。

Aika Sato:Elucidation of PFAS Contamination Using Companion Animals as Indicators(コンパニオンアニマルを指標とするPFASの汚染実態解明)

Moeha Kuwabara:Qualitative and Quantitative Analysis and Exposure Risk Assessment of Plasticizers in Eraser and Other Products(消しゴム等製品中の可塑剤の定性・定量および曝露リスク評価)

Misaki Tokuda:Characterization of PFAS Contamination Profiles
and Tissue Distribution in Cat (イエネコの臓器・組織を対象とした
PFASの汚染実態と組織分布の特徴)

シンポジウム全体を通じて、異分野融合による新たな知見や技術の可能性が提示され、One Healthアプローチの重要性が改めて強調されました。次年度は10月に愛媛大学で開催予定です。

1日目 集合写真

2日目集合写真

 

研究室所属の5名が「第32回環境化学討論会(第3回環境化学物質合同大会)」において、優秀発表賞【博士前期課程(修士)部門】を受賞しました

令和6年7月2日~7月5日にJMSアステールプラザ(広島県)で開催された「第32回環境化学討論会(第3回環境化学物質合同大会)」において、沿岸環境科学研究センター(CMES)化学汚染・毒性解析部門所属の5名が優秀発表賞【博士前期課程(修士)部門】を受賞しました。受賞者12名中、5名が当所属の学生でした。

それぞれの発表演題は下記になります。

服部 兼真さん (大学院理工学研究科博士前期課程1年生):優秀発表賞(Wellington Laboratories賞)「瀬戸内海沿岸域の二枚貝に残留するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の時空間トレンド解析」

徳田 深咲さん(大学院理工学研究科博士前期課程1年生):優秀発表賞(RSC賞)「生体組織試料中に残留する新規PFASを対象とした分析手法の開発」

桒原 萌葉さん(大学院理工学研究科博士前期課程1年生):優秀発表賞(RSC賞)「消しゴム等製品中の可塑剤の定性・定量および暴露リスク評価」

佐藤 愛佳さん(大学院理工学研究科博士前期課程2年生):優秀発表賞(Springer Nature賞)「有機フッ素化合物(PFAS)によるイヌ・ネコ用ドライペットフードの汚染実態」

松田 悠莉さん(大学院理工学研究科博士前期課程2年生):優秀発表賞(Springer Nature賞)「ヒト肝S9画分を用いたin vitro試験と機器分析による有機リン系難燃剤の代謝物同定」

優秀発表賞の選考基準は以下の通りです。

意義:研究の重要性,解決すべき課題,研究目的は明確か.

  1. 内容:研究方法,得られたデータの量と質は十分か.新規性はあるか.
  2. 考察:データに基づいた考察を適切に行っているか.得られた結論は妥当か.
  3. 素材:ポスターの図表は綺麗か,文字の大きさは適切か.
  4. 発表態度:声の大きさ,話すスピードが適切か.図表を指しながら説明しているか.
  5. 質疑応答:質問に対して的確に回答しているか.

上記の選考基準を総合的に勘案して評価されました。

卒室生である佐藤里菜さんのデータが論文になりました!

卒室生である佐藤里菜さんのデータが論文になりました!
ネコは異物代謝能が低く、有害化学物質への曝露とその影響が懸念されています。本研究では、ネコの残留性有機汚染物質(POPs)の組織分布を解析し、初めて他の哺乳類に比べてネコが腎臓中にPOPsを高蓄積することを明らかにしました。このネコの特異なPOPsの腎集積が、ネコに多い慢性腎臓病に関連する可能性を示しました。
 これまでの動物実験では、腎臓中のPOPsが尿細管上皮細胞の壊死や脱落を引き起こすことが報告されています。しかし、ネコでは尿細管に蓄積した死細胞を除去するアポトーシス阻害剤(AIM)が発動しないため、POPs蓄積による尿細管に蓄積した死細胞を除去できないため、急性または慢性腎臓病に陥る可能性があることを指摘しました。論文は以下のリンクから50日間(6月13日まで)どなたでもダウンロードできます。
Data from graduate student Rina Sato has been published in a paper!
Cats have a low capacity to metabolize harmful substances, and exposure to toxic chemicals and their effects are of concern. In this study, we analyzed the tissue distribution of persistent organic pollutants (POPs) in cats and found, for the first time, that cats accumulate higher levels of POPs in their kidneys than other mammals. This unique renal accumulation of POPs in cats may be related to chronic kidney disease, which is common in cats.
 Previous animal studies have reported that POPs in the kidney cause necrosis of tubular epithelial cells. However, we found that in cats, the apoptosis inhibitor of macrophages (AIM), which removes dead cells accumulated in the tubules, is not triggered, and therefore the dead cells accumulated in the tubules due to POPs accumulation cannot be removed, which may lead to acute or chronic kidney disease.
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卒室生である狩生凌吾さんのデータが論文になりました!

卒室生である狩生凌吾さんのデータが論文になりました!
ベトナムの電気・電子機器廃棄物と使用済み自動車の処理施設で採取した作業場ダストに残留するハロゲン系およびリン酸エステル系難燃剤のバイオアクセシビリティを評価した研究成果です。以下のリンクから50日間(5月23日まで)どなたでもダウンロードできます。
The following paper, collaborated with University of Science, Vietnam National University and Material Cycles Division, National Institute for Environmental Studies, has been just published in Science of the Total Environment.
‘Bioaccessibility of halogenated flame retardants and organophosphate esters in settled dust: Influences of specific dust matrices from informal e-waste and end-of-life vehicle processing areas in Vietnam’
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Anyone clicking on this link before May 23, 2024 will be taken directly to the final version of our article on ScienceDirect, which they are welcome to read or download.
In this study, Karyu-kun, who completed the master’s course in our lab, analyzed all the samples with a spirit of ‘Study Hard’ of our lab’s slogan, and Anh-san made a good draft.
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