愛媛大学理学部 沿岸環境科学研究センター

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須之内朋哉さん(研究員)が 優秀発表賞(富士電機賞)を受賞しました

この度、沿岸環境科学研究センター(CMES)化学汚染・毒性解析部門の須之内朋哉さん(研究員)が 優秀発表賞(富士電機賞)を受賞しました。

同賞は、令和8年9月3日(木)から 4日(金)にかけて法政大学市ヶ谷キャンパスで開催された公益社団法人環境科学会2026 年会での発表が評価されたものです。須之内さんの発表演題は、南予水産研究センター(斎藤大樹准教授と後藤理恵教授)との共同研究である「養殖スマの筋肉組織に蓄積する水銀・PCBsレベルの変動要因~摂餌による解析~」で、CMESの国末達也教授の指導のもと取り組んだ研究成果の発表でした。

須之内さんの研究は、南予水産研究センターの養殖スマに与えている2種類の餌(生餌と配合飼料)を化学分析に供試し、スマの筋肉中水銀とPCBs蓄積濃度に与える影響を解析したものです。養殖スマへ与えている餌の量を基に水銀・PCBsの推定一日取込量を推算したところ、生餌を介した取込量は配合飼料より高いことが確認され、実際に生餌と配合飼料を与えたスマの筋肉組織(可食部)における水銀濃度は配合飼料を与えていた群で低値を示しました。本研究結果は、餌として配合飼料を選択することでスマの可食部における水銀蓄積量を低減させることが期待でき、より安全性が高いスマの養殖につながる可能性を示しています。

 

当研究室の新しい論文が Journal of Hazardous Materials Advances にアクセプトされました。

【論文掲載のお知らせ】
当研究室の新しい論文が Journal of Hazardous Materials Advances にアクセプトされました。
本研究は、前回報告した「ペットフード中PFAS汚染」に関する研究の続報として、犬・猫の血清PFAS濃度と、実際に給与されていた乾燥ペットフード中PFAS濃度をペアで解析したものです。
全国3地域から収集した犬23頭・猫30頭の血清を対象に、38種類のPFASを分析しました。さらに、愛媛コホートでは、同じ個体に対応する血清とペットフードを解析し、食餌由来曝露の可能性を検討しました。
その結果、猫ではPFNA、PFDA、PFUnDA、PFDoDA、PFTrDAなどの長鎖PFCAが犬より高く、特にPFOS、PFUnDA、PFTrDA、総PFASで血清とフードの関連が認められました。これらの結果は、ペットフードが猫の長鎖PFCA曝露に寄与する可能性を示しています。
本研究は、伴侶動物を家庭環境中の化学物質曝露を反映するOne Health sentinelとして捉えるうえでも重要な知見です。
論文はオープンアクセスとなっており、どなたでも閲覧可能です。
【論文情報】
Title: Species-specific PFAS profiles in companion dogs and cats: paired serum–food evidence for dietary long-chain PFCA exposure in Japanese cats
Authors: Kei Nomiyama, Aika Sato, Fuka Sato, Rumi Tanoue, Kohei Saeki, Hazuki Mizukawa, Nozomu Yokoyama, Mitsuyoshi Takiguchi, Yoshinori Ikenaka
Journal of Hazardous Materials Advances 23 (2026) 101468
DOI: 10.1016/j.hazadv.2026.101468

https://doi.org/10.1016/j.hazadv.2026.101468

研究室所属の学生4名が第5回環境化学物質合同大会で優秀発表賞を受賞しました!

2026年6月23日から26日に長崎県で開催された「第5回環境化学物質合同大会(第34回環境化学討論会)」において、本研究室に所属する大学院生4名が優秀発表賞を受賞しました。

本大会は、環境中の化学物質の分析、動態、毒性、リスク評価などに関する研究成果が発表される国内有数の学術大会です。今回、口頭発表およびポスター発表の内容と発表技術が評価され、以下の4名が表彰されました。

 

山本愛依さん: 優秀発表賞(Royal Society of Chemistry)

発表題目
「ゼブラフィッシュ胚を用いたPFOA及び代替物質(HFPO-TA, HFPO-TeA)の甲状腺ホルモン受容体活性評価と神経伝達影響解析」

PFOAとその代替物質であるHFPO-TAおよびHFPO-TeAを対象に、発生期のゼブラフィッシュにおける甲状腺ホルモンかく乱作用と神経伝達系への影響を解析しました。

TR CALUXを用いた試験では、いずれの化学物質も甲状腺ホルモン受容体βに対する活性を示しませんでした。この結果から、これまでに観察された甲状腺ホルモン恒常性への影響は、受容体への直接作用とは異なる機序による可能性が示されました。

HFPO-TeA曝露後の神経伝達物質分析では、ドーパミン、セロトニンおよびGABAそのものに明確な変化は認められませんでした。一方、一部の代謝物に変動がみられ、HFPO-TeAが神経伝達物質の代謝酵素に影響する可能性が示されました。

 

安原芽生さん: 優秀発表賞(Springer Nature Award)

発表題目
「瀬戸内海沿岸域の二枚貝に蓄積するPFASレベルの時空間トレンドと生物濃縮性の評価」

2017年と2024年に瀬戸内海沿岸で採取された二枚貝を分析し、有機フッ素化合物(PFAS)の時間的・空間的な変化と生物濃縮性を評価しました。

一部の地点では、新興PFASである8:2 fluorotelomer sulfonic acid(8:2 FTS)とHexafluoropropylene oxide tetramer acid(HFPO-TeA)が2024年の試料からのみ検出されました。近年、瀬戸内海沿岸に新興PFASが流入している可能性を示す結果です。

海水から二枚貝への生物濃縮係数を算出したところ、一部の代替・新興PFASは、従来型PFASと同等またはそれ以上の生物蓄積性を示しました。瀬戸内海におけるPFAS汚染の経年変化と地域特性を明らかにした点が評価されました。

今回の受賞は、各学生が日頃から積み重ねてきた研究と、発表に向けた準備の成果です。受賞した皆さん、本当におめでとうございます。

本研究室では、環境中に存在する化学物質の汚染実態、生物への蓄積、毒性作用、野生動物における薬物代謝などについて、化学分析、細胞試験および動物を用いた研究を進めています。今回の成果を今後の論文発表と研究の発展につなげていきます。

 

高取水月さん: 優秀発表賞(Wellington Laboratories賞)

発表題目
「タンチョウヅル肝ミクロソーム画分を用いたin vitro薬物代謝試験によるアゾール系抗真菌薬の代謝能および代謝酵素の評価」

希少鳥類であるタンチョウの肝臓から調製したミクロソーム画分を用い、アゾール系抗真菌薬ボリコナゾールの代謝特性をin vitroで評価しました。

ボリコナゾールは主にN-oxide体とHydroxy体へ代謝され、N-oxide体が主要な代謝物であることが示されました。酵素阻害試験から、N-oxide体の生成にはCYP2CおよびCYP3A、Hydroxy体の生成には主にCYP3Aが関与する可能性が示されました。

in vivo試験が難しい希少野生動物を対象に、薬物代謝特性と関与酵素を明らかにした研究です。タンチョウをはじめとする希少鳥類の獣医療や、医薬品の適正使用に役立つ基礎的知見として評価されました。

本研究は、帯広畜産大学および釧路市動物園との共同研究として実施しました。試料提供と研究実施にご協力いただいた関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。

 

木上舜太さん: 優秀発表賞(Presentation Award)

発表題目
「大阪湾の魚類に蓄積するベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤および残留性有機汚染物質レベルの種間比較と生物濃縮性の評価」

2023~2024年に大阪湾で採取された7種の魚類を対象に、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BUVSs)と残留性有機汚染物質(POPs)の蓄積状況を調査しました。

大型魚のスズキではBUVSs濃度が高く、UV-Pが特徴的に検出されました。餌生物を含む解析から、UV-Pが他のBUVSsやPOPsより高い生物濃縮性を示すことも明らかにしました。従来の脂溶性のみでは説明できない、スズキに特有の曝露経路を示した点が評価されました。

 

今回の受賞は、各学生が日頃から積み重ねてきた研究と、発表に向けた準備の成果です。受賞した皆さん、本当におめでとうございます。

本研究室では、環境中に存在する化学物質の汚染実態、生物への蓄積、毒性作用、野生動物における薬物代謝などについて、化学分析、細胞試験および動物を用いた研究を進めています。今回の成果を今後の論文発表と研究の発展につなげていきます。

福井光貴さん (大学院理工学研究科博士前期課程1年生) が廃棄物資源循環学会中国・四国支部奨励賞を受賞しました

令和8年2月25日、沿岸環境科学研究センター (CMES) 化学汚染・毒性解析部門の福井光貴さん (大学院理工学研究科博士前期課程1年生) が廃棄物資源循環学会中国・四国支部奨励賞を受賞しました。同賞は、令和7年9月17日~ 19日に名古屋大学で開催された第36回廃棄物資源循環学会研究発表会での発表が評価されたもので、厳正な審査を経て、将来の活躍が期待される若手会員に与えられたものです。福井さんの発表演題は、「ベトナムの廃タイヤリサイクル施設で粉砕されたタイヤチップから溶出する添加剤由来化合物の網羅的スクリーニング:作業者のリスクを把握するヒト模擬消化液を用いた溶出実態」で、沿岸環境科学研究センターの国末達也教授と田上瑠美准教授の指導のもと取り組んだ研究成果の発表でした。

福井さんの研究は、ベトナムのハノイ市内に立地する廃タイヤリサイクル施設から採取した廃タイヤ粉砕チップを対象に、ヒト模擬消化液を用いた溶出試験とスクリーニング分析を実施したもので、廃タイヤチップを加えた模擬消化液から21種の添加剤関連物質の検出が明らかとなり、作業従事者は微細化されたタイヤチップを取り込むことで、多くのタイヤ添加剤由来化合物を腸管吸収している可能性が高いことが明らかとなりました。とくに、老化防止剤の一種であるN-(1,3-dimethylbutyl)-N’-phenyl-p-phenylenediamine (6PPD) の変化体でサケ科魚類への致死毒性を示す6PPD-quinone (6PPD-Q)が相対的に高い強度で検出されたことは特筆に値し、作業従事者に対する健康影響が危惧されました。本研究結果から今後、同施設では作業従事者に対する廃タイヤ粒子曝露の低減に向けた適切な管理体制の強化が求められることを提示した点が評価されました。

New Scientistから取材を受けました。

先日発表したペットフードに含まれるPFASに関する研究論文に関して、New Scientistから野見山准教授が取材を受けました。

New Scientistは、1956年に創刊された科学技術のあらゆる側面を扱う英語の週刊科学雑誌で、世界でも読者数の多いことで知られる一般向け科学技術系雑誌です。

https://www.newscientist.com/article/2516516-fish-based-pet-food-may-expose-cats-and-dogs-to-forever-chemicals/