愛媛大学理学部 沿岸環境科学研究センター

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福井光貴さん (大学院理工学研究科博士前期課程1年生) が廃棄物資源循環学会中国・四国支部奨励賞を受賞しました

令和8年2月25日、沿岸環境科学研究センター (CMES) 化学汚染・毒性解析部門の福井光貴さん (大学院理工学研究科博士前期課程1年生) が廃棄物資源循環学会中国・四国支部奨励賞を受賞しました。同賞は、令和7年9月17日~ 19日に名古屋大学で開催された第36回廃棄物資源循環学会研究発表会での発表が評価されたもので、厳正な審査を経て、将来の活躍が期待される若手会員に与えられたものです。福井さんの発表演題は、「ベトナムの廃タイヤリサイクル施設で粉砕されたタイヤチップから溶出する添加剤由来化合物の網羅的スクリーニング:作業者のリスクを把握するヒト模擬消化液を用いた溶出実態」で、沿岸環境科学研究センターの国末達也教授と田上瑠美准教授の指導のもと取り組んだ研究成果の発表でした。

福井さんの研究は、ベトナムのハノイ市内に立地する廃タイヤリサイクル施設から採取した廃タイヤ粉砕チップを対象に、ヒト模擬消化液を用いた溶出試験とスクリーニング分析を実施したもので、廃タイヤチップを加えた模擬消化液から21種の添加剤関連物質の検出が明らかとなり、作業従事者は微細化されたタイヤチップを取り込むことで、多くのタイヤ添加剤由来化合物を腸管吸収している可能性が高いことが明らかとなりました。とくに、老化防止剤の一種であるN-(1,3-dimethylbutyl)-N’-phenyl-p-phenylenediamine (6PPD) の変化体でサケ科魚類への致死毒性を示す6PPD-quinone (6PPD-Q)が相対的に高い強度で検出されたことは特筆に値し、作業従事者に対する健康影響が危惧されました。本研究結果から今後、同施設では作業従事者に対する廃タイヤ粒子曝露の低減に向けた適切な管理体制の強化が求められることを提示した点が評価されました。

New Scientistから取材を受けました。

先日発表したペットフードに含まれるPFASに関する研究論文に関して、New Scientistから野見山准教授が取材を受けました。

New Scientistは、1956年に創刊された科学技術のあらゆる側面を扱う英語の週刊科学雑誌で、世界でも読者数の多いことで知られる一般向け科学技術系雑誌です。

https://www.newscientist.com/article/2516516-fish-based-pet-food-may-expose-cats-and-dogs-to-forever-chemicals/

 

ペットフードのPFAS汚染に関する論文を発表しました。

【概要】

愛媛大学 先端研究院 沿岸環境科学研究センター(CMES)の野見山桂准教授らの研究グループは、日本国内で流通する犬用・猫用ペットフード100製品を対象に、34種類のPFAS(有機フッ素化合物)を網羅的に分析しました。その結果、多くの製品からPFASが検出され、とくに魚を主原料とする製品で高濃度となる傾向が明らかになりました。

欧州食品安全機関(EFSA)の耐容摂取量を用いたハザード指数(HQ)評価では、複数の製品でHQが1を超え、健康影響の可能性が示唆されました。HQはあくまでヒトを対象としているため、今後はイヌ・ネコへの影響について明らかにしていく必要があります。

本研究は、ペットフード中PFASの汚染実態を体系的に示した国内初の大規模研究であり、伴侶動物の健康リスクおよび家庭内共曝露の観点から重要な知見を提供します。

 

【詳細】

1.PFASは多くの製品から検出: ドライフードでは濃度が高い傾向が見られ、ウェットフードでは摂取量換算で曝露量が高くなることが示されました。

2.魚由来原料が主要な汚染要因:  主原料別解析の結果、魚を主原料とする製品でΣPFAS濃度が有意に高値を示しました。

特にPFOS、PFUnDA、PFTrDAなどの長鎖PFCA類が卓越しており、海洋食物網での生物濃縮を反映していると考えられます。

3. 原産国による特徴:  アジア製品群と米国製品群でPFAS組成に差異が確認されました。また、中国由来のPFOS代替物質F-53B関連化合物(9Cl-PF3ONS)も一部製品から検出され、サプライチェーン汚染の可能性が示唆されました。

4. 健康リスク評価(HQ):   ヒトを対象にしたEFSAのTWI値(PFOS, PFOA, PFNA, PFHxS)を用いて推定したハザード指数では、平均値でHQ>1となる製品群が存在しました。今後はイヌ・ネコを対象にした影響評価指標が求められます。

 

【論文情報】

掲載誌:Environmental Pollution

題名:Widespread PFAS contamination in pet food: Dietary sources and health risks to companion animals(和訳:市販ペットフードにおけるPFAS広域汚染:食餌由来曝露源と伴侶動物の健康リスク)著者:Kei Nomiyama*, Aika Sato, Rumi Tanoue, Kohei Saeki, Yoshinori Ikenaka, Hazuki Mizukawa

DOI:10.1016/j.envpol.2026.127779

URL:https://doi.org/10.1016/j.envpol.2026.127779

山本愛依さん(大学院理工学研究科博士前期課程1年生)が第27回日本内分泌撹乱物質学会研究発表会において優秀若手研究者発表賞「森田賞」を受賞しました

山本愛依さん(大学院理工学研究科博士前期課程1年生)が第27回日本内分泌撹乱物質学会研究発表会において優秀若手研究者発表賞「森田賞」を受賞しました

令和7年12月11日および12日に、つくば市・文部科学省研究交流センターにて開催された「第27回日本内分泌撹乱物質学会研究発表会」において、沿岸環境科学研究センター(CMES)化学汚染・毒性解析部門所属、大学院理工学研究科博士前期課程1年の山本愛依さんがポスター発表し、森田賞を受賞しました。受賞対象となった発表題目は「ゼブラフィッシュ胚を用いたPFOA代替物質(HFPO-DA、HFPO-TA、HFPO-TeA)の甲状腺ホルモンへの影響評価」であり、本研究は、沿岸環境科学研究センターの野見山 桂 准教授、田上 瑠美 准教授、国末 達也 教授の指導のもと実施されたものです。

本研究では、近年使用が拡大しているPer- and Polyfluoroalkyl Substances(PFAS)の一種であるHFPO-DA、HFPO-TA、HFPO-TeA、およびPFOAをゼブラフィッシュ胚に水系曝露し、LC-MS/MSを用いて胚内の甲状腺ホルモン6種(T4、T3、rT3、3,3′-T2、3,5-T2、3-T1)の濃度を定量しました。これにより、これら物質への曝露が魚類の甲状腺ホルモン恒常性に及ぼす影響を解析しました。

その結果、各標的物質はゼブラフィッシュ胚の甲状腺ホルモン濃度にそれぞれ異なる影響を及ぼしました。特にHFPO-TeAの曝露では、これまで毒性影響が指摘されているPFOAよりも極めて低濃度で甲状腺ホルモン恒常性に影響を及ぼすことが明らかとなり、脱ヨウ素酵素(DIO3)活性への影響が示唆されました。さらに、HFPO-TeA曝露胚において、甲状腺ホルモンの産生、輸送、脱ヨウ素化などに関与する遺伝子発現を解析した結果、甲状腺ホルモン受容体遺伝子や甲状腺刺激ホルモン関連遺伝子の発現低下、ならびに甲状腺ホルモン代謝に関与する複数の遺伝子に有意な発現変動が認められました。

HFPO-TeAが甲状腺ホルモン恒常性に及ぼす影響を解析した研究は本研究が初めてであり、ストックホルム条約に登録され、国際的および国内的に製造・使用が原則として禁止・制限されているPFOAよりも、強い甲状腺ホルモン恒常性攪乱作用を有する可能性が示されました。

本研究は、これまで知見の乏しかったHFPO-DA、HFPO-TA、HFPO-TeAの甲状腺ホルモン系への影響を体系的に明らかにした点が高く評価され、今回の受賞に至りました。

沿岸環境科学研究センター(CMES)化学汚染・毒性解析部門の山本愛依さんが第27回日本内分泌撹乱物質学会研究発表会において優秀若手研究者発表賞「森田賞」を受賞しました【12月12日(金)】 | 愛媛大学

高菅 卓三客員教授(株式会社島津テクノリサーチ特任フェロー)が経済産業大臣から 計量関係功労者表彰を受けられました。

当研究室の客員教授である高菅 卓三先生が、11月4日の令和7年度計量記念日に経済産業大臣から計量関係功労者表彰を受けられました(写真1-2枚目)。

この表彰は、計量関係事業者、計量関係団体の職務において、多年にわたって計量関係事業の発展、計量器の発達・改善、計量思想の普及又は計量行政の運営等に尽力し、その功績が顕著である方に贈られます。

 

環境化学研究室では、2007年から髙菅先生に客員教授を務めていただき、微量化学物質の分析技術や学生のキャリアパスについてこれまでご指導をいただいています。

髙菅先生は国内最大規模のダイオキシン類分析機関である(株)島津テクノリサーチにおいて、技術責任者として組織を牽引しながら、国内のダイオキシン類やPCB、POPs等の極微量測定分析の第一人者として活躍され、長年に渡り国内外の環境計量証明事業に対して多大な貢献をされてきました。

具体的には、(一般社団法人)日本環境測定分析協会内に極微量物質研究会を設立するとともに、測定分析技術の開発や国内外の分析者の技術向上にも努め、これらの技術を基盤とするMLAP制度を確立し、測定分析の精度管理向上に尽力されてきました。また、経済産業省や環境省等の各種委員、ダイオキシン類JIS原案作成委員等を歴任されています。活躍は国内に留まらず、外国人を日本に受け入れて法定計量分野の技術指導に取り組まれたり、政府の海外協力事業の一環で専門家として外国へ派遣され、海外での技術指導にも取り組まれています。関係国際学会にも積極的に参加し、国内外の環境計量証明事業に対して多大な貢献が今回の表彰につながりました。

また、高菅先生は、日本環境化学会の副会長を長年務められており、昨年は第33回環境化学功績賞も受賞されています(写真3枚目)。

今回の計量関係功労者表彰  、誠におめでとうございます!