愛媛大学理学部 沿岸環境科学研究センター

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水原奈々さんが「第2回環境化学物質3学会合同大会」でナイスプレゼン賞(最優秀賞)を受賞しました。

水原奈々さん(大学院理工学研究科博士前期課程2年生)が「ナイスプレゼン賞(最優秀賞)」を受賞しました。同賞は、令和5年5月30日(火)~6月2日(金)に開催された「第2回環境化学物質3学会合同大会」での発表と質疑への対応について審議され、参加者全員の投票により決定されるものです。水原さんの発表演題は、「ゼブラフィッシュ胚を用いた抗精神病剤ハロペリドールの発生毒性と生物濃縮性の評価」で、沿岸環境科学研究センターの野見山桂准教授、田上瑠美准教授、国末達也教授の指導の下で取り組んだ研究成果の発表です。

当研究室のこれまでの研究成果にもあるように、医薬品の中でも抗精神病剤のハロペリドールが魚類に対し高い生物濃縮性と脳移行性を有することが確認されているにも関わらず、その作用機序や体内動態に関する知見が不足していました。水原さんの研究では、ハロペリドールを対象に、ゼブラフィッシュに曝露した際の毒性や行動影響、生物濃縮性を評価しました。その結果、低濃度では心臓周囲や卵黄嚢に浮腫がみられ、ドーパミンやノルエピネフリンなどの神経伝達物質濃度が有意に減少、さらには仔魚の移動距離が低下したことから、血中において臓器・組織に移行可能な遊離型ハロペリドールが急増することで、発生毒性や中枢神経毒性が発現した可能性があるということを提示した点が評価され受賞に至りました。

本受賞は愛媛大学のHPでも掲載されています。

沿岸環境科学研究センター(CMES)化学汚染・毒性解析部門の水原奈々さんが「ナイスプレゼン賞(最優秀賞)」を受賞しました【6月2日(金)】

 

卒室生の野崎一茶さんの研究成果が国際共著論文として学術雑誌(Science of the Total Environment,  Volume 866, 25 March 2023, 161258)に掲載されます。

卒室生の野崎一茶さんの研究成果が国際共著論文として学術雑誌(Science of the Total Environment,  Volume 866, 25 March 2023, 161258)に掲載されます。

 

インド、インドネシア、ベトナムの表層水および魚の血しょう中に残留する医薬品類とパーソナルケア製品由来物質を測定し、それら生活関連化学物質の生物移行残留性と潜在的な生態リスクを解析しました。その結果、抗ヒスタミン剤のクロルフェニラミンは、ティラピアの血中のたんぱく質に特異的に結合することにより、高い生物移行残留性を示すことが示唆されました。また未処理または浄化処理の不十分な生活雑排水・し尿排水が都市河川に流出することにより、一部の生活関連化学物質の生態リスクが懸念されるレベルにまで達していることがわかりました。

 

本論文はオープンアクセスとなっており、どなたでも無償で全文を閲覧・ダウンロードできます。

https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2022.161258

 

野崎さんお疲れ様でした!!

 

Our new international collaborative paper entitled ‘Pharmaceuticals and personal care products (PPCPs) in surface water and fish from three Asian countries: Species-specific bioaccumulation and potential ecological risks’ has been accepted for publication by Science of the Total Environment.

 

Anyone clicking on the following link will be taken directly to the final version of our article on ScienceDirect, which they are welcome to read or download. No sign up, registration or fees are required.

https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2022.161258

 

Nozaki san, who completed the master’s course in March 2019, worked very hard and wrote the first draft of this paper. Excellent job!

 

Individual data is available in a public repository, ChemTHEATRE.

URL: https://chem-theatre.com/project/PRA000124.

 

●6th International Chemical Hazard Symposium、 第6回環境化学討論会 北海道東北地区部会・中国四国地区部会合同シンポジウム開催のお知らせ

共催: (⼀社)⽇本環境化学会、(国法)北海道⼤学卓越⼤学院プログラム
⼤学の世界展開⼒強化事業(IVCMEP)、(国法)愛媛⼤学沿岸環境科学
研究センター化学汚染・沿岸環境研究拠点(LaMer)

テーマ:「環境研究における異分野融合」
日時:2023年1月12日、13日(各日AM 9:30から夕刻までを予定しております。)

会場:北海道大学大学院獣医学研究院内講堂(〒060-0818 北海道札幌市北区北18条西9丁目)&
WebEX(ハイブリッド開催)
参加費:無料

詳細、参加方法はこちら (PDF)

卒業生の島﨑真琴さんの研究成果が論文として発表されました。

卒業生の島﨑真琴さんの研究成果が論文として発表されました。
タイで飼育されているペットネコを対象に、血清中の有機ハロゲン化合物の曝露量と、予想される汚染源としてキャットフードとハウスダストを分析し、それぞれの曝露への寄与率を推定したものです。
 分析の結果、デカブロモジフェニルエーテル(BDE-209)はタイのペットネコにおける主要な汚染物質であり、ドライキャットフードやハウスダストにおいても主要な汚染物質として検出されたことから、これらがネコの曝露源であることが推定されました。
そこでドライキャットフードやハウスダスト摂取による有機ハロゲン化合物の寄与率を計算した結果、PCBs と MeO-PBDEs の曝露は主にペットフードによるものと推定されましたが、PBDEsにおいては室内ハウスダストも主要な曝露源であることが推察されました。
本研究は、愛媛大学CMESおよび北海道大学獣医学部、およびタイのカセサート大学獣医学部との共同研究であり、研究成果は「animals」に掲載されました。
本論文はオープンアクセスとなっています。
Makoto Shimasaki, Hazuki Mizukawa, Kohki Takaguchi, Aksorn Saengtienchai, Araya Ngamchirttakul, Disdanai Pencharee, Kraisiri Khidkhan, Yoshinori Ikenaka, Shouta M. M. Nakayama, Mayumi Ishizuka, Kei Nomiyama.
Contamination Status of Pet Cats in Thailand with Organohalogen Compounds (OHCs) and Their Hydroxylated and Methoxylated Derivatives and Estimation of Sources of Exposure to These Contaminants
Animals 2022, 12(24), 3520; https://doi.org/10.3390/ani12243520

須之内朋哉さん (大学院理工学研究科博士後期課程2年生) が Society of Environmental Toxicology and Chemistry (SETAC) Asia-Pacific Conference 2022でBest Poster Presentationを受賞しました

この度、沿岸環境科学研究センター(CMES)化学汚染・毒性解析部門の須之内朋哉さん(大学院理工学研究科博士後期課程2年生)が Best Poster Presentationを受賞しました。同賞は、2022年9月5日 (月) 〜 8日 (木) にオンラインで開催されたSociety of Environmental Toxicology and Chemistry (SETAC) Asia-Pacific Conference 2022での発表が評価されたものです。須之内さんの発表演題は、「Temporal trends and interspecies comparison of POPs levels in melon-headed whale (Peponocephala electra) and Dall’s porpoise (Phocoenoides dalli)」で、沿岸環境科学研究センターの国末達也教授の指導のもと取り組んだ研究成果の発表でした。

須之内さんの研究は、棲息海域が異なる外洋性ハクジラ類2種(熱帯-亜熱帯海域に棲息するカズハゴンドウと寒冷海域に棲息するイシイルカ)の脂肪組織(脂皮)に蓄積する残留性有機汚染物質(POPs)濃度の経年変化を、生物環境試料バンク(es-BANK)に冷凍保存されていた1980年代以降のアーカイブ試料を活用して解析したものです。解析の結果、近年規制された臭素系難燃剤のヘキサブロモシクロドデカン濃度は現在も両種で上昇していること、その一方で、1970~1980年代に規制された塩素系POPsの経年変化には種間差が認められ、移動拡散性の高いことが知られている一部のPOPs濃度はカズハゴンドウで低減していたのに対し、イシイルカでは定常状態を示し寒冷外洋域へ大気輸送が継続していることを提示した点が評価されました。