愛媛大学理学部 沿岸環境科学研究センター

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●6th International Chemical Hazard Symposium、 第6回環境化学討論会 北海道東北地区部会・中国四国地区部会合同シンポジウム開催のお知らせ

共催: (⼀社)⽇本環境化学会、(国法)北海道⼤学卓越⼤学院プログラム
⼤学の世界展開⼒強化事業(IVCMEP)、(国法)愛媛⼤学沿岸環境科学
研究センター化学汚染・沿岸環境研究拠点(LaMer)

テーマ:「環境研究における異分野融合」
日時:2023年1月12日、13日(各日AM 9:30から夕刻までを予定しております。)

会場:北海道大学大学院獣医学研究院内講堂(〒060-0818 北海道札幌市北区北18条西9丁目)&
WebEX(ハイブリッド開催)
参加費:無料

詳細、参加方法はこちら (PDF)

卒業生の島﨑真琴さんの研究成果が論文として発表されました。

卒業生の島﨑真琴さんの研究成果が論文として発表されました。
タイで飼育されているペットネコを対象に、血清中の有機ハロゲン化合物の曝露量と、予想される汚染源としてキャットフードとハウスダストを分析し、それぞれの曝露への寄与率を推定したものです。
 分析の結果、デカブロモジフェニルエーテル(BDE-209)はタイのペットネコにおける主要な汚染物質であり、ドライキャットフードやハウスダストにおいても主要な汚染物質として検出されたことから、これらがネコの曝露源であることが推定されました。
そこでドライキャットフードやハウスダスト摂取による有機ハロゲン化合物の寄与率を計算した結果、PCBs と MeO-PBDEs の曝露は主にペットフードによるものと推定されましたが、PBDEsにおいては室内ハウスダストも主要な曝露源であることが推察されました。
本研究は、愛媛大学CMESおよび北海道大学獣医学部、およびタイのカセサート大学獣医学部との共同研究であり、研究成果は「animals」に掲載されました。
本論文はオープンアクセスとなっています。
Makoto Shimasaki, Hazuki Mizukawa, Kohki Takaguchi, Aksorn Saengtienchai, Araya Ngamchirttakul, Disdanai Pencharee, Kraisiri Khidkhan, Yoshinori Ikenaka, Shouta M. M. Nakayama, Mayumi Ishizuka, Kei Nomiyama.
Contamination Status of Pet Cats in Thailand with Organohalogen Compounds (OHCs) and Their Hydroxylated and Methoxylated Derivatives and Estimation of Sources of Exposure to These Contaminants
Animals 2022, 12(24), 3520; https://doi.org/10.3390/ani12243520

須之内朋哉さん (大学院理工学研究科博士後期課程2年生) が Society of Environmental Toxicology and Chemistry (SETAC) Asia-Pacific Conference 2022でBest Poster Presentationを受賞しました

この度、沿岸環境科学研究センター(CMES)化学汚染・毒性解析部門の須之内朋哉さん(大学院理工学研究科博士後期課程2年生)が Best Poster Presentationを受賞しました。同賞は、2022年9月5日 (月) 〜 8日 (木) にオンラインで開催されたSociety of Environmental Toxicology and Chemistry (SETAC) Asia-Pacific Conference 2022での発表が評価されたものです。須之内さんの発表演題は、「Temporal trends and interspecies comparison of POPs levels in melon-headed whale (Peponocephala electra) and Dall’s porpoise (Phocoenoides dalli)」で、沿岸環境科学研究センターの国末達也教授の指導のもと取り組んだ研究成果の発表でした。

須之内さんの研究は、棲息海域が異なる外洋性ハクジラ類2種(熱帯-亜熱帯海域に棲息するカズハゴンドウと寒冷海域に棲息するイシイルカ)の脂肪組織(脂皮)に蓄積する残留性有機汚染物質(POPs)濃度の経年変化を、生物環境試料バンク(es-BANK)に冷凍保存されていた1980年代以降のアーカイブ試料を活用して解析したものです。解析の結果、近年規制された臭素系難燃剤のヘキサブロモシクロドデカン濃度は現在も両種で上昇していること、その一方で、1970~1980年代に規制された塩素系POPsの経年変化には種間差が認められ、移動拡散性の高いことが知られている一部のPOPs濃度はカズハゴンドウで低減していたのに対し、イシイルカでは定常状態を示し寒冷外洋域へ大気輸送が継続していることを提示した点が評価されました。

Our research paper published recently in Science of The Total Environment is introduced via a news release in the following international web sites.

Our research paper published recently in Science of The Total Environment ‘Health impact assessment of pet cats caused by organohalogen contaminants by serum metabolomics and thyroid hormone analysis’ is introduced via a news release in the following international web sites.

EurekAlert!
https://www.eurekalert.org/news-releases/959746

AlphaGalileo
https://www.alphagalileo.org/en-gb/Item-Display/ItemId/223506

Asia Research News
https://www.asiaresearchnews.com/content/effect-environmental-contaminants-health-pet-cats

愛媛大学研究成果ストックサイト
(英)https://research.ehime-u.ac.jp/
(日)https://research.ehime-u.ac.jp/post-ja/

Twitter
https://twitter.com/Ehime_Univ/status/1551817811433238529

Our new paper has been just published in Science of The Total Environment.

Our new paper entitled ‘Health impact assessment of pet cats caused by organohalogen contaminants by serum metabolomics and thyroid hormone analysis’ has been just published in Science of The Total Environment.

The article is now available on https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0048969722035872

愛媛大学沿岸環境科学研究センター、愛媛大学大学院農学研究科、北海道大学獣医学研究院の共同研究チームは、これまでの研究で、日本のペットネコが海産物を主原料とするキャットフードの摂餌により、慢性的にポリ塩化ビフェニル(PCBs)に曝露されていること、毛づくろい(グルーミング)によりハウスダスト中に含まれるポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)に曝露されていることを明らかにしてきました。しかし、それら汚染物質による健康への影響は明らかになっていません。本研究では、日本のペットネコを対象にした有機ハロゲン化合物(OHCs)曝露による健康影響に焦点を当てました。ネコ血清中PCBs、PBDEs濃度と甲状腺ホルモン濃度との間に有意な負の相関が認められ、OHCsの曝露がネコの血中甲状腺ホルモンレベルを低下させている可能性を示しました。さらに多変量解析ツールで血清中のメタボロームデータとOHCs曝露レベルとの関係を解析した結果、親化合物(PCBsおよびPBDEs)とその水酸化体(OH-PCBsおよびOH-PBDEs)の血清中残留レベルが、それぞれ独自の一次代謝経路と関連していることが示され、親化合物とフェノール化合物で異なる毒性影響が示唆されました。とくにPCBsはグルタチオン代謝やプリン代謝を含む多くの代謝経路との関連しており、PCBsの曝露がペットのネコに慢性的な酸化ストレスを引き起こしていることを示しました。酸化ストレスはがんや生活習慣病と深く関連しており、今後は汚染物質曝露とネコの疾病との関連についての解明が必要です。

本研究成果に関する論文は、2022年6月24日に環境科学の国際誌である「Science of The Total Environment」に掲載され、オンライン版で公開されました。