愛媛大学理学部 沿岸環境科学研究センター

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Our new paper has been just published in Science of The Total Environment.

Our new paper entitled ‘Health impact assessment of pet cats caused by organohalogen contaminants by serum metabolomics and thyroid hormone analysis’ has been just published in Science of The Total Environment.

The article is now available on https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0048969722035872

愛媛大学沿岸環境科学研究センター、愛媛大学大学院農学研究科、北海道大学獣医学研究院の共同研究チームは、これまでの研究で、日本のペットネコが海産物を主原料とするキャットフードの摂餌により、慢性的にポリ塩化ビフェニル(PCBs)に曝露されていること、毛づくろい(グルーミング)によりハウスダスト中に含まれるポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)に曝露されていることを明らかにしてきました。しかし、それら汚染物質による健康への影響は明らかになっていません。本研究では、日本のペットネコを対象にした有機ハロゲン化合物(OHCs)曝露による健康影響に焦点を当てました。ネコ血清中PCBs、PBDEs濃度と甲状腺ホルモン濃度との間に有意な負の相関が認められ、OHCsの曝露がネコの血中甲状腺ホルモンレベルを低下させている可能性を示しました。さらに多変量解析ツールで血清中のメタボロームデータとOHCs曝露レベルとの関係を解析した結果、親化合物(PCBsおよびPBDEs)とその水酸化体(OH-PCBsおよびOH-PBDEs)の血清中残留レベルが、それぞれ独自の一次代謝経路と関連していることが示され、親化合物とフェノール化合物で異なる毒性影響が示唆されました。とくにPCBsはグルタチオン代謝やプリン代謝を含む多くの代謝経路との関連しており、PCBsの曝露がペットのネコに慢性的な酸化ストレスを引き起こしていることを示しました。酸化ストレスはがんや生活習慣病と深く関連しており、今後は汚染物質曝露とネコの疾病との関連についての解明が必要です。

本研究成果に関する論文は、2022年6月24日に環境科学の国際誌である「Science of The Total Environment」に掲載され、オンライン版で公開されました。