PFASの高マトリックス生体試料分析に関する論文が Journal of Chromatography B に掲載されました
当研究室の卒業生、徳田さんが開発・検討したPFAS分析法に関する研究成果が、Journal of Chromatography B に掲載されました。
Toward Operationally Reliable PFAS Quantification in Complex Liver Matrices: Systematic Optimization of Commercial Cleanup Cartridges for LC–MS/MS Analysis
Misaki Tokuda, Moeha Kuwabara, Rumi Tanoue, Tatsuya Kunisue, Kei Nomiyama
PFAS(有機フッ素化合物)の生体試料分析では、血清や水試料に比べて、肝臓のようにタンパク質、脂質、胆汁酸などを多く含む試料では、LC–MS/MS測定時のマトリックス効果や分析装置への負荷が大きな課題となります。
本研究では、従来のWAX/GCBを主体としたクリーンアップ法を出発点として、抽出条件、クリーンアップ材、カートリッジの組み合わせや順序、充填量などを段階的に検討しました。その結果、アルカリ分解、ヘキサン洗浄、Captiva EMR Food IIとStrata PFASを組み合わせたクリーンアップにより、複雑な肝臓試料からlegacy PFASだけでなくalternative/emerging PFASを含む34種のPFASを安定して測定できる分析法を構築しました。
本法の特徴は、特殊な装置や独自開発の吸着材を必要とせず、市販のクリーンアップ材を組み合わせることで、実際の高マトリックス生体試料を安定して測定できる実用的な分析系を目指した点です。わずか0.10 gの乾燥組織から分析可能で、ほとんどの対象物質で良好な内部標準補正回収率が得られ、バッチ内・バッチ間の変動も15%未満でした。また、ネコ肝臓だけでなく、野生動物であるカワウの肝臓、さらにネコの腎臓や筋肉にも適用し、異なる生体マトリックスへの応用可能性を確認しました。
野生動物、とくに希少種では、研究に利用できる試料量が限られることも少なくありません。少量の組織から多様なPFASを高感度かつ再現性よく測定できる本法は、今後の野生動物モニタリングやOne Healthの視点からの化学物質曝露評価にも活用できると考えています。
論文情報
Journal of Chromatography B
DOI: 10.1016/j.jchromb.2026.125337
https://doi.org/10.1016/j.jchromb.2026.125337
本論文オープンアクセスとなっており、何方でも閲覧が可能です。

