愛媛大学理学部 沿岸環境科学研究センター

news_event

第5回ケミカルハザードシンポジウムを開催しました

2022年2月3日に第5回ケミカルハザードシンポジウムを開催しました。
本シンポは元々、北大獣医・毒性学教室と愛大・CMES環境化学研究室との合同ゼミを始まりとしています。
本年度は北海道東北地区部会・中国四国部会は共催によりオンラインで開催しました。
テーマは、「環境化学における中毒診断」とし、これまでこれまで両研究室で取り組んできた、環境化学・環境毒性学的な内容に加え、「質量分析計を用いた中毒診断」についての知見の充実と研究ネットワークの拡大を図るため、以下の2名の先生をお招きし、特別講演を実施して頂きました。
特別講演1:岩手医科大学・藤田友嗣先生
「臨床中毒におけるマススペクトロメトリーの活用」
特別講演2:国立水俣病総合研究センター・寶來佐和子先生
「ヒトにおけるメチル水銀中毒とは何か?」
本シンポジウムは事前に70名以上のご登録いただき、会議中も常時50名以上の参加をいただき、盛況となりました。
お忙しい中、本シンポジウムにご参加頂いた方々に感謝申し上げます。

LaMer公開シンポジウム(オンライン)のお知らせ

下記の要領でLaMer公開シンポジウム(オンライン)を行うこととなりました。聴講は無料・事前申し込み不要です。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

【日 時】2022年1月27日(木)15:00〜17:00(Zoom開催)

https://zoom.us/j/97664021353?pwd=L0dtSko2eEZRYU9JT1p4K1dFY01qdz09

ミーティングID: 976 6402 1353 ,パスコード: 479436

【対象】どなたでも参加いただけます。

【テーマ】生体試料を用いた化学物質ばく露評価研究

【要 約】

胎児や乳幼児は成長発達の過程にあるために化学物質による影響を受けやすいと考えられており、環境省の「子どもの環境と健康に関する全国調査(エコチル調査)」でも、既に妊娠中の化学物質ばく露と子どもの成長・発達との関連について報告されています。エコチル調査では、血液や尿などの生体試料中の化学物質濃度と健康影響との関係を明らかにしますが、多くの化学物質について、ばく露源(経路)や体内での動き(動態)について情報がないため、ばく露を減らすための対策を講じることが困難な状況です。本シンポジウムでは、化学物質ばく露を評価する方法や体内での動態に関する研究の紹介を通じて、ばく露評価研究が将来の私たちの暮らしにどのように貢献できるのか議論します。

LaMerセミナー20220127(Zoom)

Our new paper entitled ‘Determination of six thyroid hormones in dog brain and liver using acidic extraction, mixed-mode cleanup, and liquid chromatography–tandem mass spectrometry’ has been just published in Journal of Chromatography A.

臓器・組織に残留する6種の甲状腺ホルモンの分析法を新たに開発しました。本分析法により、血清・血漿試料だけでなく脳や肝臓等の標的組織を対象とした甲状腺ホルモンが分析が可能となりました。論文はJournal of ChromatographyAに掲載されました。
Our new paper entitled ‘Determination of six thyroid hormones in dog brain and liver using acidic extraction, mixed-mode cleanup, and liquid chromatography–tandem mass spectrometry’ has been just published in Journal of Chromatography A.
Takaguchi-kun, Excellent study!
Please use ‘Share Link’ – a personalized URL providing 50 days’ free access to the article.

須之内朋哉さん (大学院理工学研究科博士後期課程1年生) が日本セトロジー研究会第31回大会(オンライン特別大会)学生口頭発表賞を受賞しました

この度、沿岸環境科学研究センター (CMES) 化学汚染・毒性解析部門の須之内朋哉さん (大学院理工学研究科博士後期課程1年生) が第31回日本セトロジー研究会学生口頭発表賞を受賞しました(副賞として海棲哺乳類大全も贈呈)。同賞は、2021年12月4日 (土) 〜 5日 (日) にオンラインで開催された日本セトロジー研究会第31回大会(オンライン特別大会)での発表が評価されたものです。須之内さんの発表演題は、「鯨類の脂皮に蓄積する有機ハロゲン化合物のスクリーニング分析」で、沿岸環境科学研究センターの国末達也教授の指導のもと取り組んだ研究成果の発表でした。

須之内さんの研究は、日本沿岸に漂着した鯨類11種の脂肪組織 (脂皮) に残留する有機ハロゲン化合物 (OHCs) のスクリーニング分析を実施したもので、既存のポリ塩化ビフェニル (PCBs) や有機塩素系農薬類 (OCPs) 等の残留性有機汚染物質 (POPs) だけでなく、多数の海洋天然物質、そして構造・起源未知物質の蓄積が確認され、日本の沿岸・外洋域に生息する鯨類は多様な OHCs に複合曝露されていることが明らかとなりました。各鯨種における蓄積プロファイルを比較解析したところ、沿岸性鯨種と外洋性鯨種で差異が確認され、生息/採餌海域の違いを反映していることが推察されました。本研究結果から今後、各鯨種の食性や回遊パターンを考慮した詳細な汚染源解析に加え、複合曝露によるリスク評価が必要であることを提示した点が評価されました。

狩生凌吾さん (大学院理工学研究科博士前期課程2年生) が第32回廃棄物資源循環学会研究発表会で優秀ポスター賞を受賞しました

このたび、沿岸環境科学研究センター (CMES) 化学汚染・毒性解析部門の狩生凌吾さん (大学院理工学研究科博士前期課程2年生) が廃棄物資源循環学会優秀ポスター賞を受賞しました。同賞は、2021年10月25日 (月) 〜 27日 (水) に岡山コンベンションセンターで開催された第32回廃棄物資源循環学会研究発表会(岡山大学主催)での発表が評価されたものです。狩生さんの発表演題は、「ベトナムのe-waste・ELV解体処理場におけるハロゲン系およびリン酸エステル系難燃剤汚染と作業従事者への曝露を想定したバイオアクセシビリティ評価」で、沿岸環境科学研究センターの国末達也教授の指導のもと取り組んだ研究成果の発表でした。

狩生さんの研究は、ベトナムの電子・電気機器廃棄物(e-waste)および使用済み自動車(end-of-life vehicles[ELV])処理施設から採取した作業場ダストに残存するハロゲン系難燃剤(HFRs)とリン酸エステル系難燃剤(PFRs)のスクリーニング分析を実施したもので、POPs条約に登録されているポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)だけでなく多様な HFRs および PFRs の検出が明らかとなり、不適切なリサイクル処理に伴う作業環境への排出が示されました。また、ヒトの模擬消化液を用いてダストに残存する難燃剤のバイオアクセシビリティ(吸収可能な可溶化状態の割合)を見積もったところ、HFRs に比べ PFRs で高いバイオアクセシビリティが観測されたことから、作業従事者に対するダストを介したPFRsの曝露リスクが危惧されました。本研究結果から今後、同施設では e-wasteおよびELV に含まれる多様な化学物質の環境中への放出量低減に向けた適切な保管・管理体制の強化が求められることを提示した点が評価されました。