愛媛大学理学部 沿岸環境科学研究センター

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狩生凌吾さん (大学院理工学研究科博士前期課程2年生) が第32回廃棄物資源循環学会研究発表会で優秀ポスター賞を受賞しました

このたび、沿岸環境科学研究センター (CMES) 化学汚染・毒性解析部門の狩生凌吾さん (大学院理工学研究科博士前期課程2年生) が廃棄物資源循環学会優秀ポスター賞を受賞しました。同賞は、2021年10月25日 (月) 〜 27日 (水) に岡山コンベンションセンターで開催された第32回廃棄物資源循環学会研究発表会(岡山大学主催)での発表が評価されたものです。狩生さんの発表演題は、「ベトナムのe-waste・ELV解体処理場におけるハロゲン系およびリン酸エステル系難燃剤汚染と作業従事者への曝露を想定したバイオアクセシビリティ評価」で、沿岸環境科学研究センターの国末達也教授の指導のもと取り組んだ研究成果の発表でした。

狩生さんの研究は、ベトナムの電子・電気機器廃棄物(e-waste)および使用済み自動車(end-of-life vehicles[ELV])処理施設から採取した作業場ダストに残存するハロゲン系難燃剤(HFRs)とリン酸エステル系難燃剤(PFRs)のスクリーニング分析を実施したもので、POPs条約に登録されているポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDEs)だけでなく多様な HFRs および PFRs の検出が明らかとなり、不適切なリサイクル処理に伴う作業環境への排出が示されました。また、ヒトの模擬消化液を用いてダストに残存する難燃剤のバイオアクセシビリティ(吸収可能な可溶化状態の割合)を見積もったところ、HFRs に比べ PFRs で高いバイオアクセシビリティが観測されたことから、作業従事者に対するダストを介したPFRsの曝露リスクが危惧されました。本研究結果から今後、同施設では e-wasteおよびELV に含まれる多様な化学物質の環境中への放出量低減に向けた適切な保管・管理体制の強化が求められることを提示した点が評価されました。

須藤菜穂さん (大学院理工学研究科博士前期課程2年生) が環境ホルモン学会第23回研究発表会において森田賞を受賞しました

2021年9月12日(日)~13日(月)にオンラインで開催された環境ホルモン学会第23回研究発表会において、理工学研究科博士前期課程2年でCMES化学汚染・毒性解析部門の須藤菜穂さんが優秀な学生発表に与えられる森田賞を受賞しました。

 

須藤さんの発表演題は「生活関連化学物質(PPCPs)による汽水域魚類への移行・残留性と脳移行」で、CMESの田上瑠美助教・野見山桂准教授・国末達也教授の指導の下で取り組んだ研究成果です。

 

本研究では、下水処理水の流入がある河川の河口に生息する魚類を対象に、PPCPsの脳への移行性およびリスクの評価を試みました。その結果、一部の抗うつ剤や鎮痛剤で強い脳移行性が認められ、その移行・残留性、脳移行は魚種間で大きく異なり、PPCPsの影響評価には生物濃縮係数の魚種間差および種特異な脳移行性を考慮する必要性が示されました。

田上瑠美さん(助教)が第29回環境化学討論会 優秀発表賞(SETAC 賞(SETAC JAPAN Award))を受賞しました

 

令和3年6月1日(火)~3日(木)に会場参加型とWeb参加型のハイブリッド方式で開催された「第29回環境化学討論会」(主催:一般社団法人日本環境化学会、会場:千里ライフサイエンスセンター)において、沿岸環境科学研究センター(CMES)化学汚染・毒性解析部門の田上瑠美さん(助教)が、優秀発表賞(35歳以下の社会人、若手研究者、および博士後期課程学生の部)を受賞しました。本年度は、18題のエントリーがあり、うち4名が選ばれました。

演題は「下水処理水に残留する医薬品類及びパーソナルケア製品由来物質の魚類への取込と排泄」です。本研究では、試験魚3種への下水処理水in vivo曝露試験を実施し、医薬品類やパーソナルケア製品に含まれる生理活性化学物質(PPCPs)の取込速度定数、排泄速度定数、消失半減期、体内分布を解析しました。また、in vitro試験により血しょうたんぱく結合率と肝S9代謝速度定数を算出しました。その結果、PPCPsの魚類への移行・残留性には、化学物質の脂溶性に加え、取込•分布•代謝•排泄(ADME)、特にたんぱく結合、肝代謝、糞中への排泄が重要な役割を担うことが明らかとなりました。本研究において得られた魚類におけるPPCPsのADMEに関する知見は、ADMEの機能差を考慮した生物濃縮性予測モデルの確立に役立ち、生物種間の外挿・類推に付随する不確実性の低下および生態毒性・生物濃縮性試験の削減が期待できます。

 

Our new paper entitled ‘Nontarget screening of organohalogen compounds in the liver of wild birds from Osaka, Japan: Specific accumulation of highly chlorinated POP homologues in raptors’ has been just published in Environmental Science & Technology.

Our new paper entitled ‘Nontarget screening of organohalogen compounds in the liver of wild birds from Osaka, Japan: Specific accumulation of highly chlorinated POP homologues in raptors’ has been just published in Environmental Science & Technology.
The article is now available on https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.est.1c00357, as an ASAP paper.

小椋響子さん(理工学研究科博士前期課程1年)が第29回環境化学討論会 優秀発表賞(ウエリントンラボラトリーズジャパン賞)を受賞しました

2021年6月1日(火)~3日(木)にハイブリッド方式(千里ライフサイエンスセンター)で開催された第29回環境化学討論会において、理工学研究科博士前期課程1年でCMES化学汚染・毒性解析部門の小椋響子さんが優秀発表賞(ウエリントンラボラトリーズジャパン賞)を受賞しました。本賞は、博士前期課程(修士課程)の大学院生を対象とし、本年度は59件の応募に対して8名が受賞しました。

小椋さんの発表演題は「Py-Tag誘導体化法を用いた脳中神経伝達物質とその関連物質の高感度分析法の開発とその応用」で、CMESの田上瑠美助教・野見山桂准教授の指導の下で取り組んだ研究成果です。

本研究では、環境汚染物質曝露による神経毒性の評価および作用機序の解明のために、生体内で重要な神経伝達物質とその関連物質の高感度分析法の開発を試みました。その結果、計8物質の高感度分析法の開発に成功し、環境汚染物質曝露個体の生体組織試料を対象とした新たな影響評価手法を提示した点が高く評価されました。